操法訓練中にアクシデントは付きもの。
操法訓練は濃密な期間を1〜3ヵ月ほど過ごすことになりますよね。
選手の怪我や離脱などアクシデントは付きもの。
想定できるアクシデントから、こりゃ予想できんわ…ってアクシデントまで様々でしょう。
今回紹介するアクシデントは「鳥フン」です。
自動車ポンプ、小型ポンプ問わず番手も問わずに、あなたが操法の選手ならば陥る可能性があるアクシデントに分類されます。
「あり得ないよ。」と思われるかもしれません。
わたしもあり得ないと思いますが、実際にあり得た話しなんです。
操法訓練で鳥フンが影響することってありえるのか。
たとえば、操法中にヘルメットに鳥フンが落ちているのに服装点検で気付かずに「1番員、異常なし!」点検報告したとします。
指揮者も「よし!」としか言えないでしょう。
これなんかゼロに近い可能性でしょうが、ないとは言えない。
運が悪かった。この一言だけでしょうし、選手に落ち度はありません。
たとえ鳥フンがヘルメットや肩に付いていても、消火活動に影響はないですよね。
減点されたら納得できない。
そういう話しではなく、今から紹介する鳥フンによる被害は100%人災です。
トヨロは1番員の補欠兼雑用係で、水出しの時は1番員の邪魔にならないように走ってついて行ってました。
その日の1本目。
下車からホースと管鎗を担いだ1番員を2m後ろから追いかけてると、突然1番員がホース展張位置の5mも手前で急ストップ!
(アクシデントか?と思いながら、ぶつからないように私も左斜めに避けながら停止。)
怪我で倒れてるのでは…と、恐る恐る1番員を振り返ると、何事もなかったようにホース展張して管鎗を結合し、火点を向いて2番員を待ってる。
「???」理解できないで茫然としてると、隣で指導員と後から来た2番員も一瞬動きが止まる。
2番員が焦って、余りまくってるホースを結合してるところで分団長の怒りのストップ!
「なにをしてるんだ!やめろ!!」
怒りの形相で駆け寄る分団長と指揮者。
その視線の先の1番員は何でそうなってるのか気付かずにあっけらかんとしてた。
「1番員、停止位置がかなり手前ですよ。」小声で先輩でもある1番員に伝えるが納得できない顔でいる。
指導員の「目印めがけて走っただけだろ!?歩数を数えながら走ったのか!」こわい…。
「歩数を数えながら走ってますし、目印の白テープと誤差もありません!」
選手は自信満々で答える。
ゴゴゴゴーーーー!
分団長の怒りのオーラが凄まじい。
「1番員、おまえが言う目印の白テープはどこにある?」
やばい!そう感じた私は目印の白テープを確認する。
舗装上に立ち位置の目印として貼ってある白の布テープがやはり5mほど前方に確認できる…。
1番員が停止した目印は誰かがイタズラしたのか?
私が怪しまれて怒られるのはイヤなので、もっと近づいて目印を直視する。
「えっ…!うそっ。やばいやばいやばい。」
笑ってしまいそうになりながら「白い目印」から視線を逸らすと、笑いを堪える分団長と指導員の顔が目に入った。
分団長が意地悪な笑みを浮かべながら
「1番員、目印を確認する前にもう一度歩数を確認しながら立ち位置に止まってみろ!」そう言われ、直ちにポンプ車後方までダッシュで戻る1番員。
「1番員、行きます!!」走ってきた。
また5m手前の目印らしきものの前で止まる。
「やっぱり間違っていません!」ドヤ顔の1番員。
青筋が抑えられないくらい、お怒りの指導員。
分団長が笑いを堪えきれずに
「お前の目印は鳥フンか!?見てみろ。笑」
白の布テープに模倣した鳥フンを確認した瞬間、1番員の顔が引きつる。
よく見ると分団長は笑ってるが目は怒りに満ちており、とにかく怖い…。
もう、帰りたひ。
ヘタな言い訳をしないで、歩数の確認をせずに目印に向かい間違いましたと言えばいいのに、この期に及んでも「歩数は確認していました。」を繰り返す1番員。
この日の訓練は1番員以外の全番員と指導員・雑用係と精神的にも普段の3倍くらい大変だったのを覚えてるよ…。
ちなみに、この1番員は大会本番でもやらかしてしまい「すみません、自分のミスで台無しにしてしまいましたっ!すみません!!」と号泣して謝る姿に、分団長以下みんなが「がんばった結果だから、誰も責められない。」と慰めている最中に、一人で猛ダッシュして消えていきました。
分団長が潤んだ目で「自分を責めて、泣く姿をこれ以上みんなに見せたくないんだろう。そっとしておいてやろう。」の言葉にその場にいるすべての者がジーーーンとしてましたよ、潤んだ瞳で。
7〜8分後、1番員はアイスを片手にペロペロしながらみんなの前に帰ってきました。
コンビニまでのダッシュだったみたい。
(°□°)?!!エッ
分団長以下、すべての者が唖然とする中でただひとり1番員の指導員が「コイツはこういう奴なんですよ。鳥フンのときに分かってたでしょ、分団長?」
静かに頷く分団長。
鳥フンのせいではなく、100%人災が確定した瞬間でした。
この鳥フン事件は、我が分団の伝説のひとつです。
空気読めない人間が最後は勝つ!という話し。