消防団の報酬もらえない!なんで?元分団長が報酬の闇を解説!

消防団員には個人への報酬は確かにある

驚愕する男性

 

最近、消防団員報酬について日本全国通じて地方紙など新聞で取り上げられていますよね。

 

消防団員報酬は確実に存在します。

 

報酬以外にも、退職金や出動に応じて出動手当(費用弁償)もあります。

 

消防団員への報酬の有無の裏付けとして、総務省消防庁は各都道県知事や各市町村に対して、消防団員個人に報酬を支払うよう再三通知を出しています。

 

このことは全国で隠しようがない事実です。

 

団員報酬の金額として、消防庁より一般団員は36,500円、団長で82,500円の報酬額が指導されています。

 

また、この金額はあくまで「適正金額」としての基準であり、各市町村により報酬額は変わっていきます。

 

もしかして、あなた勘違いしていませんか?

 

この金額は「年額」ですよ。
毎月貰える金額ではなく、1年間の報酬額です。

 

分団長経験者の私から見ても、雲の上の存在である団長で年間報酬8万円ちょっと。

 

団長って、私が知るだけでも年間で120日間は消防団に関する活動をされていてこの金額。

 

1年間の3分の1は消防団…。

 

分団長してる頃も、周りの人達から「得しないのによくやってるよね!」とよく言われてました。

 

しかし団長については、はっきり言って損得勘定では考えれないレベルですね。

 

ちなみに私が所属していた市の消防団は、団員数1,000名を超す規模の消防団でした。

 

それでも、団員報酬・出動手当ともに総務省が提示する報酬金額より少なかったです。

 

少ないながらも、消防団員は非常勤特別職の地方公務員であるため、個人への報酬は担保されているのです。

 

 

じゃあ、なんで消防団員報酬をもらえないの?

 

えっ?
消防団ってボランティア団体で無報酬だと思っていたけど、個人への報酬があるのなら頂戴よっっ!

 

当然ですよね。

 

しかしながら、退職金以外の報酬は全額を貰っている消防団員はほぼいないでしょう。

 

「なぜ私の報酬なのに貰えないの?」

 

このことについて、88名の分団の副分団長(会計役)を2年間、分団長を2年間の計4年間、分団運営を行い、経験した問題点を解説します。

 

 

消防団員報酬の支払い方法

 

各市町村によって違いはありますが、大きく分けて「分団通帳への振込」「個人通帳への振込」「団本部通帳への振込」のいずれかが大半です。

 

その中でも分団通帳への振込が多いと思います。
(公にならないことなので統計などの説得材料はありませんが…。)

 

 

分団通帳への振込が多い2つの理由

 

考えられることは2つ。

 

1.事務処理の簡略化

 

2.分団運営費へ転換することを暗黙で認めている

 

 

1.事務処理の簡略化

 

私が所属していた市の消防団は、18分団あり、総勢1,000名を超えていました。

 

その中には、定員を満たすためだけの名前だけの消防団員や自分が消防団員ということすら忘れてしまってるような団員も嘘のようですが存在します。

 

このような人達ひとりひとりに個人振込のために市職員が接触するより、分団に任せてしまった方が簡略化は容易です。

 

1,000名以上の報酬を個人へ振り込むより、18分団に振り込んだ方が簡単ですよね。

 

 

2.分団運営費への流用を暗黙に推進

 

守秘義務があるかもしれませんので大雑把に言います。

 

私が分団長をしていた時は、市からの分団運営費は年間3万円でした。

 

は?ですよね。

 

88名の消防団員が所属する分団の年間運営費が3万円ですよ。

 

私の月のお小遣いと同額です。( ̄◇ ̄;)
(先月から2万7千円になりましたが…。泣)

 

分団運営費として、

・1日通しての訓練や地域行政のイベントへの協力要請(祭りの誘導員や会議への参加)参加時の団員の飲食代。

 

・長時間出動時(火災・水害・台風等)の飲食代。

 

・誘導棒や消火栓マンホール用の塗料その他消耗品などの備品購入費。

 

・操法訓練時のリース代・消耗品購入費(私が分団運営に携わった4年間を平均すると1年間あたり57万円)

 

・地域における、消防団主催の伝統行事などの費用。

 

・日々の点検や啓蒙活動時の費用弁償
(公式行事以外のため行政からの出動手当はない)

 

88名いたら昼食のお弁当代500円だけでも44,000円ですよ!

 

全団員対象の公式行事だけでも年間5回以上、緊急時も含めると10回を軽く超します。

 

これ以外に、分団内におけるポンプ点検・班長会議・中継訓練など、年間30日を超えます。

 

そのため、副分団長の頃は詰所近くのスーパーを割引価格の惣菜を求めて2〜3店はしごしてましたもん。

 

それなのに、知った人に会うと、

 

「酒飲むためにツマミ買いに来たんだろ?いいな、消防団は飲むばかりでっ!」

 

なんて言われてました。(*`Д´*)

 

確かに、お酒の席は少なくないですが、団員たちに十分な日給を払えるなら、お酒なんか飲まずにお金払いますよ…。

 

(私も早く帰りたい…。)

 

払うお金がないから、お酒の場を作って誤魔化しているようなものですよ、現実は。

 

帰りたいのに今日もお酒飲むの?
分団長ってアル中じゃねえ?

 

私も自動車班員のころ、そう思っていましたが自分がその立場になると分かってしまいました。

 

本当に、「分団長はアル中お酒好き」なんて偏見ですよ。

 

好きな人もいますが、本音は早く家族の元に帰りたいんですよ。

 

ただね、せっかく頑張ってもらったのに、団員たちをお腹空かせて家に帰らせることが心苦しくて。

 

私が裕福ならば、「家で待つ家族においしいものでも買って帰りなっ!」と1万円ずつみんなに配って帰れるんですが…。

 

緊急時がある度に、ポケットマネーで50万円くらい出せる人は分団長オススメですよ!

 

 

ちなみに、出動手当の話しをします。

 

平日に仕事を休んだり、せっかくの休日、家族との大切な時間、それらを失ってまで訓練や緊急時に出動しても1日2,000円。

 

時給ではなく、1日あたりです。
出動時間が1時間であっても、24時間であっても2,000円。

 

(市区町村によって出動手当は違います。総務省が指導する金額は7,000円。わが市のこの差額は闇です…。)

 

労働基準局に訴えたくなるほどのブラックですよね。

 

非常勤公務員という、名だけの使い勝手がいいパートさんですよ。

 

 

分団運営費のちょっと裏話し…。

 

消防団について、よく批判される懇親会費と旅行費。

 

私の分団では、それらを除いても年間で235万円は運営費として必要でした。

 

それなのに、市からの補助金3万円ですよ。
それ以外に一切なし。

 

その代わりに、分団に団員報酬を振り込むから分団運営費にしてよね!ってことじゃないですか?

 

もしかして、分団長の自己負担での分団運営を望んでるんでしょうか…。

 

私の亡くなった祖父も50年以上前に分団長を務めていて、「当時は分団長になると、田んぼ一反(300坪)売っていた」と聞かされていました。

 

私が分団長就任をお願いされた際も、家族はお金の心配を当然ながらしました。

 

うちに売れる土地も金もないぞ!と。

 

時間も行動も大幅に制約される上に、団員より報酬額が何割か増えるくらいのメリットで年間200万円以上の分団運営費の自己負担。

 

既婚者だったら、即離婚ですよ。
というか、誰もできないでしょう。

 

 

団員報酬は当然ながら個人に支払うべき!しかし…

 

話し長くなりましたが、結論は分団運営費を過不足なく確保した上で、団員報酬は個人へ全額支給されるべきです。

 

消防団は地域の形成に必要な組織です。

 

近年、地震や豪雨など大規模災害において消防団員が必要とされる場面が多発しています。

 

国としても減少に歯止めが利かない消防団員の確保について危機感を持っているみたいです。

 

その上で私は不満があります。

 

行政は消防団を使い勝手がいい安価な労働力と思っていませんか?

 

消防団は酒飲んでばかりだと批判するだけの人は、実際に入団して消防団を理解しながら悪い面は自分が変えていこうと思わないのですか?

 

十分な運営費も用意せずに「組織力を向上させよ!」なんて都合良すぎませんか?

 

消防団は本業ではありません、生きていくための仕事も大切な家族もあるのですよ。

 

消防団組織を抜本的に考え直さない限り、団員報酬では分団幹部と一般団員が争うだけですよ?

 

行政は無理やりにでも個人通帳への振込に移行し、全責任を分団長に押し付けようとしていませんか?

 

国を含め行政は、分団運営費の問題には目を瞑ったまま個人への振込だけを先行しても、消防団という組織は崩壊するだけではないですか?

 

このような現状では、消防団員の確保どころか分団幹部は育たないだけではなく、誰もが敬遠するのではないですか?

 

現役で消防団活動をがんばってる方々を思うと、腹が立つし、申し訳なく思うし、どうにかできないものかと焦燥してしまいます。

 

 

まとめ

 

現在の団員報酬の問題は行政の怠慢です。

 

もしも行政や新聞社が消防団側に問題があるというのなら、一旦、消防団を解散してしまってもいいのではないでしょうか?

 

いいかげんにしろっ!!ですよ、まったく。

 

いつも紙面で消防団を悪者扱い問題提起されてる新聞社と行政で協力して、誰ひとりとして不満がでない、明るく楽しい消防団組織を作ってもらいたい!

 

批判ばかりされているから簡単でしょ?

 

そのときは、私は協力者ではなく、批判だけをする者として立場を変える所存です。

 

かなり興奮しすぎました(-_-;)

 

一般団員の方が報酬を全額貰えないことについて、分団長など分団幹部に不信感を持つことは当然です。

 

しかし、分団運営費が担保されていないという現実があること、そして、もしもあなたが分団長になったら?と考えてみて下さい。

 

現状のままでは、確実に誰もが分団長への就任を拒絶するようになります。

 

実際に、分団長同士で意見交換をしていると、そのような声を耳にすることは少なくありませんでした。

 

「いっそのこと、全団員でじゃんけんして決めようかな?平等に。」

 

不満から生まれるブラックジョークも、いつかは当たり前の現実になるかもしれません。

 

そうなった場合、運が悪かったら、あなたが分団長になることも想定するべきでしょう。

 

 

現在、分団長や分団幹部の皆様は、団員報酬について一般団員に意見して欲しくないでしょう。

 

ありきたりな言葉でいうと、時代が変わったというか世知辛いものですよね。

 

しかし、決して意見する団員が悪いのではなく、消防団を使い勝手よく利用してきた行政が悪いのですよ。

 

あなたが現在、分団を運営する側であるのなら、大変な時期でありベストの選択肢はないかもしれません。

 

その中で、「少しだけマシ」な選択肢だけかもしれませんが、後に続く後輩達のためにも踏ん張ってください!

 

私も一人の消防団OBとして尽力していきます。